妊娠・出産 情報百科

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妊娠と貧血

女性と貧血

女性は1回の月経で約50mlの血液を失いますが、日々、血液が造られて補充されています。正常出産での出血は約500ml以下で、これは月経10ヶ月分に相当し、妊娠中の10ヶ月間は月経が無いので、計算は合っている!?

確かに、身体のしくみはうまくできていますが、女性の血液収支には余裕がなく、日本女性の約2割は潜在的に鉄欠乏性の貧血です。

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妊娠と貧血

妊娠中は、全身を流れる血液量が最大40%ほど増えて血液が薄まり、生理的な貧血状態になります。また、胎児発育に必要な鉄分を供給するため、鉄欠乏状態は進行します。

鉄欠乏性貧血が重症になると、胎児発育不良や早産の原因や出産時の出血増加で危険な状態になったり、産後回復の遅れ、母乳の鉄分も不足し、子供の発達にも影響することもあるとされています。日常生活で貧血症状を感じていなくても、血液検査で貧血と診断された場合には、治療が必要です。

 

「妊娠中の貧血はヘモグロビン(血色素)が11g/dl未満」 (WHOの定義)

ヘモグロビンとは、赤血球内に存在する鉄色素タンパクで、全身の組織に酸素を供給しています。血液の赤い色は酸素と結合したヘモグロビンの色で、日本語で血色素といいます。

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妊娠中の貧血治療(施設で基準が違うことも

ほとんどが鉄欠乏性貧血なので、治療は鉄剤(増血剤)の内服治療が行われます。重症の場合に注射治療も行いますが、鉄剤注射はできるだけ避けることになっています。

貧血治療を開始する基準は、ヘモグロビン値が11g/dl未満、10.5g/dl未満、10g/dl未満など施設によって違います。ヘモグロビン値以外の検査値を参考に決めたり、出産時の出血対策を考慮したりなど、それぞれに理由があります。

妊娠中は生理的な貧血状態なので、ヘモグロビン10g/dl程度までの軽度貧血では治療はせずに、食事やサプリメントのヘム鉄で鉄分を補うように勧められることもありますが、もし通院中に鉄剤が処方された場合には、指示通りに服用することが必要です。

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