妊娠・出産 情報百科

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妊娠と潰瘍性大腸炎

安倍元首相の体調不良の原因として有名になった、指定難病の潰瘍性大腸炎ですが、妊娠中の方も約1000人に2人がこの病気を抱えており、難病としては珍しくなく、しばしば見かけます。

病状が落ち着いておれば、妊娠・出産・産後の経過は健常者と変わりなく通常分娩が可能ですから、妊娠中に症状が悪化しないように、食生活の注意や過度なストレスを抱えないことが重要です。

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潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎は大腸粘膜の潰瘍、炎症による血便と下痢、それに伴う食欲不振、体重減少、貧血などを症状とする原因不明の難病です。かつては欧米の10分の1ほどと少なかったものが、年々増加し、現在、国内の患者は約22万人(1000人に2人)と推定され、食生活、環境の欧米化が原因の1つと考えられています。

治療法の進歩、適切な管理のおかげで、以前に比べ外科手術を必要とする人は減少し、ほとんどの方は健常人と同じ生活を送っています。

 

妊娠と潰瘍性大腸炎

ペンタサ、アサコールなどの内服治療薬で、血便などの病状が軽快し、通院治療、経過観察中の方は、妊娠・出産・産後のリスクは健康女性と差はありません。心配している方がおられますが、結婚、妊娠、出産、育児の妨げとなる疾患ではありません。

妊娠の可能性がある、または、妊活中の方は、妊娠前に消化器内科の主治医と相談の上、計画的な妊娠が勧められます。病状が安定しているかどうか、食事や生活の注意について聞いておきましょう。服用薬の中には、妊娠前に変更しておくべきものもあります。

一般的にも、妊娠前からの葉酸摂取が勧められていますが、特に、潰瘍性大腸炎では通常量よりも多い葉酸、ビタミンD、カルシウムの摂取が重要です。これについては、内科医からは指示されないので、妊活中の方は産科医に相談の上、妊娠前から妊娠12週まで、ぜひ服用するようにしましょう。

 

出産については、病状が安定している方は、通常の自然分娩が可能で、ふつうの産科施設で対応できます。

症状が増悪している人、手術治療を行った人、手術治療が必要かもしれない人は、内科・外科と産婦人科の専門医がいる総合病院での出産が安全です。