妊娠・出産 情報百科

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臍帯巻絡(さいたいけんらく)

へその緒が首に巻いている? 

妊娠中の超音波検診で、「へその緒が赤ちゃんの首に巻いている」と言われて、心配な方へ 

臍帯巻絡は全出産の約30~40%

へその緒が、胎児の身体に巻いていることを臍帯巻絡(さいたいけんらく)と言います。医師や助産師にとっては、日常的によくあることなので、あまり気にせずに使ってしまう言葉ですが、健診で「臍帯巻絡があります」と言われた方は、気になるものです。 

臍帯巻絡の頻度は、全出産の30~40%で、その80%が胎児の首に巻いている頸部巻絡です。臍帯巻絡がお産の障害になることはあまりありません。多重(3回以上)に巻いている場合には、胎児心拍数の変動に注意しながら、分娩を慎重に管理します。

臍帯巻絡があると、骨盤位(逆子)が直りにくい場合があります。自然に頭位にならなければ、骨盤位体操や外回転術などではなく、予定帝王切開にしましょうと指示されるかもしれません。

臍帯巻絡があると、臍帯脱出はおきにくい 

臍帯の異常で最も危険なのは、胎児よりも先に臍帯が出てくる臍帯脱出です。もし臍帯脱出が起きてしまうと、超緊急帝王切開が必要になりますが、実は、臍帯巻絡があると、臍帯脱出が起きにくい傾向があります。

現在、骨盤位分娩が帝王切開になる理由の1つは、臍帯脱出が起きやすいからですが、かつて、骨盤位でも、ふつうに経腟分娩を行っていた頃、超音波検査で臍帯巻絡があると多少は安心して、分娩を行うことができました。

ロッククライミングや電線工事をする人が、長いロープや電線が垂れないように袈裟懸けにしている姿をイメージしてみてください。長い臍帯も、ほど良く巻き付いていると、下に垂れることなく安心といえます。 

臍帯脱出については別に解説しますが、計画分娩や誘発分娩で起こりやすく、臍帯巻絡よりもはるかに危険な状態です。

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骨盤位の臍帯巻絡 骨盤位の臍帯脱出は(比較的)起きにくい

妊娠中の超音波検査で臍帯巻絡を認めなかったのに、頻回に胎児心拍数異常を示す場合は、より注意が必要です。つまり、臍帯巻絡を認めない方が、むしろ危険な場合もあるということです。

危険な複雑臍帯巻絡は0.1~0.2% 

残念ながら、分娩1000に1、2件、複雑臍帯巻絡(手足に複雑に絡んだ状態)が起こります。複雑臍帯巻絡では、胎動減少や胎児発育不良を起こし、危険な状態に陥ることもあります。胎児心拍数に注意しながら慎重に管理しますが、緊急帝王切開になることもあります。

臍帯巻絡

臍帯巻絡(さいたいけんらく)